トップページ認知症認知症とはどんな病気なのか?

 1.認知症の理解 認知症とはどんな病気なのか?

 A.認知症の定義
 認知症とは、一度獲得された知能が後天的な器質的な障害によって持続的に低下した状態を言い、それは必ずしも不可逆的とは限りません。
  
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 .認知症の診断基準
 認知症の診断基準は、以下の4つです。 
   @記憶の障害があること
   A失語・失行・失認・実行機能の障害、のいずれかひとつ以上があること
   Bせん妄でないこと
   Cほかの精神障害からは説明できないこと
 
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 C.認知症と物忘れの違い
 年をとると、脳の老化によって、多少の 「物忘れ」が起こることはめずらしくありません。これは、加齢による全身の機能の衰えの一つであり、生理的な現象と考えられます。
 しかしその一方で、単なる 「物忘れ」とは明らかに違う記憶力の低下や、知的能力の後退がみられるお年寄りもいます。その場合に疑われるのが「認知症」です。
 
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 ◆認知症は脳の病変◆
 「一度獲得した知的能力が、脳の後天的な病的変化によって著しく低下した状態」を「認知症」といいます。進行すると、物を見て覚えたり理解したりする能力が低下し、判断力も低下して、日常生活に支障をきたすようになります。
 認知症は、以前は「痴呆症」と呼ばれていました。 しかしこの呼び方に侮蔑的な意味合いを感じる人が多いことから、2004年末に厚生労働省が行政用語として「認知症」と呼ぶことを決め、のちに医療の世界でもこの名称に統一して改めることになりました。
 
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 ◆体験をまるごと忘れるのが特徴◆
 認知症と物忘れの大きな違いは、物事の忘れ方にあります。認知症では体験をまるごと忘れてしまいます。物忘れでは、体験したことの一部を忘れるという特徴があります。
 たとえば、つい先ほど食事をしたことは覚えているが、何を食べたかまで細かく思い出せないという場合は単なる物忘れですが、食事をしたこと自体を忘れているという場合には認知症が疑われます。
 
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 ◆診断と適切なケアが必要◆
 脳の老化のスピードには個人差があります。誰にでも起こりうる老化現象の物忘れについては、周囲の人もある程度は寛容に受け止めであげることが大切です。しかし、認知症と診断された場合は、医師の指導のもとで適切なケアを心がける必要があります。
 お年寄りの物忘れが生理的なものなのか、脳の病変による認知症のため起きているのかは、ふだんの行動や言動に加え、病院で検査を受ければわかります。 
 

加齢による単なる物忘れと認知症との違い

 加齢による物忘れ  認知症の物忘れ
 生理的な脳の変化が原因  脳の神経細胞の病変が原因
 体験したことの一部を忘れる  体験したことの全体を忘れる
 大きく進行することは無く、知能や人格
 に変化は無い
 徐々に進行し、知能と人格の水準が低下してくる
 判断力・理解力に問題は無い  判断力・理解カが低下する
 忘れっぽいことを自覚している  忘れたことを自覚しなくなる
 日常生活には、さほど差し支えは無い  通常生活に支障をきたす
 
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 D.認知症の初期症状とサイン
 認知症は、記憶をはじめとする知的機能の障害ですが、いきなり何もかもわからなくなるわけではありません。喜怒哀楽などの感情はあり、長年の間に培われた自尊心などは、かなり進行しない限り失われません。
 とくに初期には、物忘れが多くなったことへの戸惑いや不安をお年寄り本人が感じ、取り繕おうとする行動がみられることもあります。
 
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 ◆初期には戸惑いと不安を自覚◆
 忘れてしまったことによるつじつまの合わない行動に舟年寄り本人が気づくと、それを何とかしようと、ますますつじつまが合わない行動をとることもあります。これに対して周囲の人は、お年寄りの行動を迷惑がったりとがめたりしがちです。
 しかし、お年寄り本人も内心は、認知症の初期ほど「あれ、おかしいな。どうしよう?」というあせりや不安な気持ちでいっぱいです。周囲の人はお年寄りのこうした気持ちを理解し、適切なケアが受けられるように手をさしのべることが大切です。
 
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 ◆昔より新しいことを忘れる◆
 初期症状を見分けるポイントは、記憶力の低下がどのように起こっているかにあります。
 記憶には、数分前のことを覚えている短期記憶と、数日内のことを覚えている近時記憶、それ以前のことを覚えている遠隔(長期)記憶があります。認知症のごく初期では、まず近時記憶があやふやになり、やがて短期記憶が働かなくなりますが、遠隔記憶には問題がないことが少なくありません。
 つまり、昔のことは覚えているのに新しいことは忘れてしまうという特徴があるのです。
 
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 ◆時間の見当がつかなくなる◆
 今がいつか、ここがどこかといった時間や場所など、自分が置かれている状況を正しく認識する知的活動の「見当識」が正常に働かなくなるのも、認知症の特徴です。
 初期にはまず時間の見当がつかなくなり、日付や曜日、月などの認識があやふやになります。

こんな初期症状に注意

 日付や曜日を1〜2日勤違いする程度でなく、日時の見当があやふやになる
 若いころのことは思い出せるのに、つい最近の体験をまるごと忘れてしまう
 物忘れのためにしてしまった辻褄の合わない行動に、戸惑いや不安を感じたり、焦ったりする
 
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 E.認知症の進行のしかた
 記憶力の低下で気づくことの多い認知症ですが、その後はさまざまな知的能力の低下が進み、俳掴や妄想異常な言動や行動が引き起こされるようになって、日常生活に支障をきたします。
 
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 ◆記憶障害の進み方◆
 記憶は、次のように分類できます。
   @新しく物事を記憶する(記銘)
   A一定期間、記憶を保つ保持)
   B記憶した内容を思い出す(想起)
   C記憶した内容に間違いがないと確認する(再認)
   
 認知症の初期では@とBに障害射起きやすく、前述のように短期〜近時の記憶があいまいになります。進行するとAやCもうまくいかなくなり、何かをいわれても数分後にすぐ忘れて聞き返したり、物をしまった場所を忘れたりします。
 さらに進むと、つい先ほどの行動をまるごと忘れ、食事の直後に「まだ食べていない」、外出から帰ったのに「どこへも行っていない」などというようになります。
 その一方で古い記憶、昔あったことの記憶は比較的よく保たれます。しかし、認知症がかなり進行した状態では、古い記憶も断片的にしか思い出せなくなっていきます。
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 ◆見当識障害の進み方◆
 見当識は次のように大別できます。 
   @日付・時間(今はいつなのか)
   A場所・空間(今どこにいるのか)
   B人や物の見分け(今、目の前にいるのは誰か、何があるのか)
 
 初期には@が、続いてA、Bがわかりにくくなります。@が進んだ状態では、季節や朝夕の判断を間違えることも目立ちます。実際には朝起きたばかりなのに、雨戸が閉まっていて部屋が暗いと、夜だと思い込んだりします。
 @の進行に記憶力の低下が重なると、自分の年齢すらわからなくなることがあります。その場合、年齢を問われると、だいたいは実際より若い年齢をいいます。生年月日は覚えていても、正しい年齢をいえません。
 Aが進んだ状態では、外出のたびに迷子になったり、自宅にいながらどこかへ帰ろうとしたりするなど、周囲の人を困惑させることが多くなります。
 Bが進行すると、親しい人や家族の名前や顔を忘れたりするほか、夫と息子の名を取り違えて呼んだり、夫を自分の父親と間違えて話しかけたりといったことが起きてきます。
 

場所や空間の見当識障害の進み方

最初は、あまり行ったことはないが、ふつうは迷いそうもないような場所で迷うことが多くなる
やがて、何度も行ったことのある場所でも迷うようになる
外出先から帰れなくなって歩きまわり、保護されたりする。
この行動がのちに「徘徊」につながることもある
進行すると、家の中でも自室やトイレ、浴室の場所などを間違えやすくなる
トイレの場所を忘れたために、失禁してしまうこともある
自分の家にいることを認識できなくなって、突然「家に帰りたい」などといったりすることもある
 
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 ◆記憶障害と見当識障害の複合◆
  認知症が進むにつれ、記僧障害と見当識障害はしばしば複雑にからみ合って症状をもたらします。徘徊も、人の取り違えも、そうした症状の一部といえます。他人からみると唐突で異常に感じる行動でも、本人にとっては理由のある行動なのです。
 見当識がうまく働かなくなると、本人は無意識のうちにあせりと不安を感じ、それがさらなる異常な行動へつながってしまうことも少なくありません。
 
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 F.認知症が進行した状態で起きてくること
  認知症が進行して知的能力が低下すると、思考力や判断力も低下し、物事を論理的に順序立てて考えられなくなっていきます。言語機能をつかさどる大脳の部位に障害がある場合は、言語表現能力が著しく低下し、読んだり書いたり話したりする能力全般に支障をきたします。
 進行するにつれ、単独での行動がおぼつかなくなるため、日常的に何らかの介助が必要になります。また、うつ状態になって無気力になることもあるほか、全身の機能も徐々に衰えていきます。
 
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 ◆何気ない行為を忘れる失行◆
  順序立てた考え方ができなくなると、たとえば、毎日していた料理の手順や調理器具の使い方がわからなくなつたりします。また、まひなどの機能障害があるわけではないのに、今までできていた何げない行為ができなくなることもあります。これを「失行」といいます。 大脳の広い範囲が侵された場合には、一つひとつの動作はできるのに、それらを組み合わせてまとまった動作にすることができなくなる「観念失行」が起こります。たとえば、食事中に箸は使えるのに食べ物を口に運べなかったり、ドアノブは振れるのにドアを開けられなかったりという行動が日立ってきます。
 
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 ◆知覚障害や全身妻帯も進む◆
  認知症が進行すると、味覚や嗅覚、痛覚といった知覚に障害が起きてくることもあります。
 味やにおいがわからないために料理の味つけがうまくできない、痛みに鈍感になつたため、けがや病気に気づかずに悪化させてしまうといったことも起こりやすくなります。
 さらに進行すると、運動能力や内臓の機能も低下し、全身が衰弱してきます。個人差はありますが、体力低下のスピードは、認知症でないお年寄りの3〜4倍ともいわれます。
 
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 G.主な認知症の原因と特徴
  認知症は脳の病的な変性です。初期には、記憶をつかさどる「海馬」という部分が障害されるため、記憶力の低下が目立ってきます。こうした脳の病変は、60歳での発症は100人に1人程度といわれますが、80歳を超えると4〜5人に1人が発症するともいわれています。
 つまり、脳の老化に関連して病変も起こりやすくなるのです。
 
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 H.大きく分けると認知症のタイプは3つ
 脳の老化ととくに関連する認知症は、脳血管性認知症と変性性認知症に大別されます。後者のうちでは、アルツハイマー型認知症と、レビー小体型認知症などがよく知られています。それぞれの型の認知症が重なって発症するケースもあります。
 
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 ◆脳血管性認知症◆
 脳梗塞などにともない、脳のある部分に限定しで障害が起こります。たとえば言語機能をつかさどる部位の障害では失語症となったり、運動機能をつかさどる部位に障害が起きるとまひや運動障害を起こしたりします。多発梗塞性認知症では、自覚症状がないまま病変部が脳のあちこちにでき、段階的に悪化します。
 障害の起こつた部位がどんな知的機能をつかさどつていたかにより、あらわれる症状が異なり、知的能力はまだら状に侵されていきます。感情のコントロールができなくなる感情失禁が起こることもあります。
 
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 ◆アルツ八イマー型認知症◆
 脳でβプロティンというたんばくが、アミロイドという異常なたんばくをつくり出すため、脳に老人斑と呼ばれるしみができ、神経細胞が少しずつ変性・脱落していきます。その結果、脳の萎縮が進行し、知的能力がだんだん低下していきます。
 若い世代に発症する若年性アルツハイマー塑認知症は、進行が急速ですが、高齢者に発症する場合は、個人差はあるものの比較的ゆつくりと進行することが多いようです。
 症状は記憶障害に始まり、初期には抑うつがみられたり、進行すると徘徊や妄想、幻覚がみられたりすることもあります。最終的には脳全体が萎縮するので身体機能そのものが低下しますが、表情はおっとりとして幸せそうなケースもみられます。
 
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 ◆レピー小体型認知症◆
 レビー小体と呼ばれる正体不明の物が脳の神経細胞にできるために起こり、高齢者の認知症では、アルツハイマー型に次いで多いことがわかってきました。
 通常型ではアルツハイマー型の病変が混在することも多く、初老期〜老年期に発症します。物忘れのほか具体性のある幻視がみられるのが特徴で、被害妄想やうつ状態があらわれることもあります。
 また、筋肉のこわばりや動作緩慢など、パーキンソン病にみられる症状が加わることもあります。そのため、初期にはパーキンソン病と診断されることもあります。
 アルツハイマー型の病変をともなわない純粋型では、パーキンソン病の症状から始まって知能低下がなだらかに進むこともあり、40歳代の若さで発症するケースもあります。
 
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 I.認知症のタイプと特徴(表)
 
 認知症のタイプと特徴
 タイプ  特 徴  対処方法の目安
 脳血管性認知症  ・男性に多い
 ・段階的に進行
 ・機能低下はまだら状
 ・まひや動作の鈍りが起こる
 ・初期は物忘れを自覚
 ・症状が変わりやすい
 ・せん妄が起こりやすい
 ・感隋失禁がみられる
 ・人格は保たれやすい
 ・画像診断で脳梗塞なとかわかる
 脳梗塞などの病変部の治療を受け
 るとともに、リハビリテーション指導
 を受けるなどして症状を改善するこ
 とが少なくない。
 アルツハイマー型
 認知症
 ・女性に多い
 ・なだらかに進行
 ・機能低下が全体的に進む
 ・神経症状は少ない
 ・物忘れの自覚が失われる
 ・感情表現が乏しくなりがち
 ・仮性作業・仮性対話(意味のない動作
  の連続やつぶやき)が起きやすい
 ・異常な行動が起こりやすい
 ・人格が変わることがある
 ・画像診断で脳の萎縮がわかる
 近年は、早期に発見し治療すると、
 症状を改善したり進行を遅らせた
 りできる場合もあることがわかっ
 てきた。あきらめず病気と向かい
 合うことが大切。
 レビー小体型
 認知症
 ・男性に多い
 ・なだらかに進行
 ・機能低下が全体的に進む
 ・パーキンソン病の症状〈筋肉のこわばり、
  手のふるえ、動作緩慢など)
 ・がみられることがある
 ・初期には物忘れを自覚
 ・なまなましい幻覚かみられる
 ・被害妄想が起こりやすい
 ・人格は保たれやすい
 ・画像診断では脳の萎縮が軽い
 ほかの型と間違われやすいが、
 従来の抗精神病薬などを使用する
 と症状が悪化することもあるので
 注意が必要
 
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 J.認知症早期発見の目安
 
認知症早期発見の目安
  もの忘れがひどい
今切ったばかりなのに、電帯の相手の名前を忘れる
同じことを何度も言う・問う・する
しまい忘れ・置忘れが増え、いつも探し物をしている
財布・通帳・衣類などを盗まれたと、人を疑う
  判断・理解カが衰える
料理・片々け・計算・運転などのミスが多くなった
 新しいことが覚えられない
話のつじつまが合わない
テレビ番組の内容が理解できなくなった
  時間・場所が分からない
約束の日時や場所を間違えるようになった
慣れた道でも迷うことがある
  人柄が変わる
ささいなことで怒りっぽくなった
周りへの気づかいがなくなり、頑固になった
自分の失敗を人のせいにする
 「このごろ様子がおかしい」と周囲から言われた
  不安感が強い
ひとりになると怖がったり寂しがったりする
外出時、持ち物を何度も確かめる
 「頭が変になった」と本人が訴える
  意欲がなくなる
下着を変えず、身だしなみを構わなくなった
趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなった
ふさぎ込んで、何をするのもおっくうがり嫌がる

(「認知症の人と家族の会」作成)

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HOME|★||★|目次
認知症の理解
認知症の定義
認知症の診断基準
認知症と物忘れの違い
認知症は脳の病変
体験をまるごと忘れる
診断と適切なケアが必要
認知症の初期症状とサイン
初期は戸惑いと不安を自覚
昔より新しいことを忘れる
時間の見当がつかなくなる
認知症の進行のしかた
記憶障害の進み方
見当識障害の進み方
記憶障害・見当識障害の複合
認知症が進行したときに
何気ない行為を忘れる失行
知覚障害や全身妻帯も進む
主な認知症の原因と特徴
認知症のタイプは大きく3つ
脳血管性認知症
アルツ八イマー型認知症
レピー小体型認知症

認知症のタイプと特徴(表)
認知症早期発見の目安
認知症の理解
認知症とはどんな病気なのか?
認知症の検査と診断
認知症は治せるか
認知症の人との接し方
認知症の主な症状別対処法
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